「Webサイトの継続的改善」のための手段として、「アクセスログ解析」をもっと有効に活用しましょう！このコーナーでは、「アクセスログ解析」を行うための手引き、分析方法や結果の活用方法などを、わかりやすく説明していきます。
2007年01月30日
KPIから対策を起こす基準 -Control Limits-
私がよく読むBlogに、アメリカのWebアナリスト、Avinash KaushikによるOccam's Razorがあります。この中に、"Excelent Analytics Tips #9: Leverage Statistical Control Limits"と題されたエントリーがポストされました。とても素晴らしい（どのエントリーも素晴らしいのですが…）内容なので、是非ここで、紹介したいと思います。
このエントリーでは、日々変化するKPI（Key Performance Indicator）を見て、どの段階で対策を講じるべきかについて、"Control Limits"という基準を設けて考えよう、ということを提案しています。
まずこのエントリーで彼は、時系列で見るアクセス状況には、"natural biorythm"（自然周期）をもつ傾向があることを指摘します。そして、この定常的な上下動は説明がしにくく、深い分析をする必要がないところまで分析をしてしまうことがあると言います。
このような定常的な変化と、本質的な変化を区別するために用いられるのが、シックスシグマで利用されるControl Limitという概念です。この概念には３つの指標が登場します。
- Mean
- そのKPIの平均値
- UCL(Upper Control Limit)
- そのKPIの傾向の分布の上限。そのKPIの平均+そのKPIの標準偏差x3で計算。
- LCL(Lower Control Limit)
- そのKPIの傾向の分布の下限。そのKPIの平均-そのKPIの標準偏差x3で計算。
この３つの指標を、時系列の推移グラフに合わせて示します。そうすると、UCL、LCLから外れていなければ、許容できる範囲の変化だとみなすことが出来ますし、外れていれば対策を起こすべきだとわかります。もちろん、そのように簡単に判断がつかない場合もあると考えられますが、データを一見したとき、大幅に理解しやすくなるという点で、非常に役立つTipsだと思います。
コメント
お世話になります。もとの原稿を拝見しましたが、コンバージョンレートについてでしたが、ページビューには使えるのでしょうか。職場でページビュー数について、グラフを作ってみましたが、上司が否定的でした。ページビューについてこの手法を用いる事についてのお考えをお聞かせいただければ幸いです。
P.S.他のコラムもいつも参考にさせていただいており、他ではとても読む事のできない濃い内容なので、たいへん感謝しております。
Posted by: きりん : 2007年10月26日 00:14
きりん様、コメント有難うございます。
お問い合わせの件について、ご回答致します。
まず確認ですが、きりん様はコンバージョンレートと書いていますが、厳密にはKPIとAvinashさんは記述しています。
また、下記のようにも記述しており、私もその通りだと思います。
Control limits work best with metrics / KPI's where it is a bit easy to control for the impacting variables.
きりん様は、「ページビュー」について使いたいとのことでしたが、問題はどの「ページビュー」に適用するかということになると思います。これがサイト全体など、かなり大きな単位になると、影響を与える要素は広範に及び、簡単に制御(easy to control)できないので、あまり有用性はないと思います。逆に、ある単一のページ、またはカテゴリということであれば、影響を与える要因は特定ができ、しかも自社の施策によるところが大きい（広告など）と考えられますので、有用性はあると考えます。
この点、私の記述も不十分でした。申し訳ありません。
他にも何かありましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。
Posted by: ミツエーリンクス : 2007年10月26日 22:38
